「いい気分」になることを選択しようと思っていたとしても、二度とネガティブな「思考」をしなくなることができるというわけではありません。
大切なのは、ネガティブを感じている最中にも、自分はその気になれば「いい気分」に戻れるのだということを、理解していることです。
それ自体に、問題があるわけではない。
ネガティブを感じている最中に、「いい気分」に戻らなければいけないと、もがく必要などはありません。
普段の生活の中で、ネガティブな「思考」にとらわれてしまったときに、「いい気分」になろうとすることを繰り返し「思い出す」ということを心がけていたならば、そのうちに心の中に、ネガティブな考え方について免疫ができてくることに気づくでしょう。
これまでは、いつもネガティブな反応をしてきたことについて、これからも同じように考えて自分をわざわざ嫌な気分にさせる必要はない ということが、だんだんとわかってくるからです。
たとえば、「Aに問題がある。」という「思考」にとらわれてしまったとき、これまでの古い習慣をもつあなたなら、
●「以前からAについては困っている。」
●「Aについて改善するためにはどうすればいいだろう?」
●「Aが存在する限り、問題は解決しない。」
●「ああ、Aのせいでこんなに気分を害されているなんて、酷い話だ」
といった具合に、ネガティブな「思考」を膨らませていき、「気分」の悪さをエスカレートさせていくことを繰り返していたかもしれません。
しかし、普段から、「いい気分」になろうとすることを「思い出す」という新しい習慣がついてくれば、
●「いまの自分はネガティブな思考にとらわれている。これは古い習慣だ。」
●「最近よく気づけるようになっている。しかも早い段階でわかってはいる。」
●「このまま考え続けても、もっと気分が悪くなるだけで解決しないんだ。」
●「いい気分になりたい。ええと、どうすればいい気分になれるんだっけ・・・」
というふうに、ネガティブの最中にも、自分の「思考」の状態を客観的に眺めることができるようになるでしょう。
そのとき、ネガティブの原因は「A」にあるように見えますが、実は「A」が原因なのではありません。
これは、「A」にこだわってしまう、あなたのほうにある問題なのです。
ネガティブの最中であっても、「A」にはそれ自体に問題があるわけではない、ということに、気づくことができるようになりましょう。
ネガティブな最中に、そこまで気づいたなら、深呼吸。
そのネガティブな「思考」にまつわるすべての「思考」について、その最中には、歪んだものの考え方しかできなくなっているということを理解すること。
ちょうどそのときに、
自分の頭の中でいま、「ただ、雨が降っている」のだと考えてみましょう。
ネガティブな「思考」が雨雲となり、あなたの頭に雨を降らせている様子を、イメージしてみてください。
実際に雨が降ってきたとき、あなたは、雨雲をどうにかしようともがいたりしないはずです。
雨はこのまま降り続けるだろうと、嘆いたりすることはないはずです。
一生ぬかるみの地面を歩くことになると、心配したりしないはずです。
いつやむのだろうとイラついて空をにらみつけることも、雨がやむまでは何もできないと判断して、人生を放棄することもないでしょう。
放っておけば、雨はやみます。
ネガティブな最中に最も必要なことは、
自分はこの歪んだ「思考」に対して、何もしないと決めること。
まずは頭の中を空っぽにして、ネガティブな「思考」が頭の中を通り過ぎるのを待ちましょう。
しばらくは頭の中に雨雲が生まれ続け、次々と流れてくるのを感じるでしょうが、それをどうにかしようとするのをやめてください。
深呼吸をして、ネガティブな「思考」という雨雲が流れ去るのを待つことにしましょう。
どしゃぶりの雨の中を、無理に進もうとするのはやめましょう。
少し休んで、雨が小降りになるまでしばらく様子をみましょう。
もっとペースダウンし、自分を癒す時間をつくりましょう。
ゆっくりと身体を休めて、おいしいものを食べ、よく眠ることにしましょう。
あなたがそうして雨宿りしようとすれば、雨はあなたを濡らして苦しめることができなくなります。
雨の影響を受けずにいられることがわかったなら、あなたの心の奥の「感情」が、あなたに何を訴えようとしているのかということを、きちんと理解していきましょう。
次項から詳しく説明していきます。