あなたは、どんな人にも「ありのままの自分」で接することを選択しているでしょうか。
人間関係を円滑にしようとするとき、人はしばしば自分の好き嫌いの気持ちを抑え込み、自分の本来の意思や性格を曲げて、誰かや何かのために奉仕しなければならないと考えてしまうことがあります。
しかし、この試みは長くは続かず、たとえあなたが良かれと思っておこなっていたとしても、実際には自分にとっても他人にとっても良いことはありません。
すでに相手には、伝わっている。
あなたが「ありのままの自分」に戻るということは、あなたが良く思っていない人に対していい加減な態度をとるということではなく、相手がどんな人であるかにかかわらず、一貫したあなたらしい態度をとるということ。
本来のあなたらしい態度で人に接し、本当に思っていることを人に話し、好きだと思う人とつき合い、嫌いな人とは必要以上につき合わない、という単純で明快な態度です。
あなたがこのように「ありのままの自分」で他人と接することを選択するなら、人間関係はごく単純でスムーズなものになり、何よりもあなた自身がずっと楽に過ごせるようになるでしょう。
実際には、なかなかそんなふうにできるものではないかもしれません。
ですが、ここできちんと理解するべきことは、たとえあなたがどのような態度をとろうとも、あなたの他人に対する意識というものは、大体のところが伝わってしまう ということです。
人は、言葉や行動よりも早く、お互いの意識を通わせて、相手の心をすばやく感じ取ってしまいます。
あなたが誰かを見て好感をもったり、違和感を感じたりした意識は、あなたが考えている以上に、すでに相手に伝わっているものです。
ですから、例えばあなたがそのことをごまかしたり、演技をしたりしながら誰かと穏便につき合おうとすれば、相手はすでに伝わっている意識との違いに混乱し、その態度に否定的になったり憤慨したりしてしまうでしょう。
あなたのほうは「こんなに努力しているのに何が気に入らないのだろう?」と首をかしげることになるのです。
つまり、あなたが自分の嫌いな人とも努力して仲良くやっていこうとするような行為は、たとえあなたが良かれと思っておこなったとしてもかえって害となり、実際にはお互いに不愉快となる結果になり得るということ。
そうであるならば、元より他人の目にも明らかであるあなたの意識と、あなたの表面上の態度を一致させて「ありのままの自分」に戻り、新しい快適な人間関係を築いていくことを目指していきましょう。
あなたが「ありのままの自分」に戻ると決めたなら、これからは相手がどうであるのかということには一切関わらず、常にあなたが本来「こうでありたい」と思う自分にふさわしい態度をとり、あなたの考えを素直に語り始めましょう。
あなたは、あなた自身のために発言し、行動すればいいのです。
あなたがそのように肯定的に信じ、選択して発した言動に対して、誰がどのように感じ、どのように受けとるのかということについては、あなたには一切責任のないことです。
但し、「好きな人は好き・嫌いな人は嫌い」ということを前面に押し出すような態度ではうまくいきません。
大切なのは、相手によって態度を変えるのをやめて、あなたらしい態度を貫くということのほうです。
例えば、嫌な相手とも仕事上などの理由でつき合う必要がある場合には、「たしかに私はあなたのことをよく思っていませんし、あなたもそうであるかもしれませんが、いまここでは必要なことに集中しましょう」という態度でいれば、問題は大きくなりません。
そこには、「この人はこういう人だから、こう言えば怒るかもしれない」というような判断を一切、入れないようにすること。
「相手がどうであるか」ということを見て反応するのではなく、常に本来の自分は「どうありたいか」ということに焦点をあてて、最も「こうありたい」と思い描く自分に近づいていきましょう。
あなたは、あなたが自由であることを理解し、あなた以外の人にも自由を認めるだけでいいのです。
次項で詳しく説明していきましょう。