あなたが試験問題を解いている途中で、すぐに解けそうにない「難問」に出会ってしまったら、どのように対処しようとするでしょうか。
試験時間には限りがありますし、他に解けそうな問題は、まだ沢山あります。
すべての問題を完璧に解かなければならないわけではないとすれば、迷わず他に解けそうな問題に移ろうとするでしょう。
その「難問」の出現には、たしかに気をとられますが、「いまは、そうする必要がある」と判断するからです。
ところが、私たちはしばしば、人生における「難問」については、「放っておいて、他に解けそうな問題に移ろう」とすることが、できなくなってしまうのです。
「現在の理解は、ここまで」とする。
私たちが、人生における「難問」に出会ってしまったとき、他にできそうなことは、まだ沢山ありますし、すべての「問題」を完璧に解くことを強いられたわけでもありません。
なのにどうして、その「難問」はすぐには解けそうにはないと理解し、他に解けそうな問題に移ろうとしないのでしょうか。
なぜ「その難問を解けない限り、人生がうまくいかない」と囁く自分の「思考」を、無視しようとしないのでしょう?
それは、「試験問題と人生問題では重要度が違うから」という理由でも、「たとえそうしたくとも、人生の問題が自分を苦しめてくるから」という理由でもありません。
あなたが、「いまは、そうする必要がある」という判断をしていないからです。
あなたに現在「困っていること」があるとして、あなたが「困らなくなる方法」をまだ理解できそうにないのなら、「現在の理解は、ここまで」として、他に解ける「問題」から解き始めようとしてください。
(「いまは考えない」という選択 参照)
その「難問」の出現には、たしかに気をとられますが、「問題」を見つめて「思考」を回転させることでは、その「問題」は解けるようにはなっていません。
その「難問」を解いてやろうと執着し続けることで、不愉快な気持ちを感じ続けていることに気づいたなら、一旦そこからあなたの「思考」を引き離し、「異なることに集中するべき」という判断を下しましょう。
もちろん、答えがわからないということについて、あきらめるのではありません。
例えば試験が終了した後、あなたがどうしてもその「難問」の解答を理解したいと感じるときには、現在の理解力を向上させる必要があるとわかるでしょう。
「人生の難問」がそこに現れたときにも、同じことです。
その場で「難問」を解くための秘密に気づく必要があるかのように「思考」をめぐらせ続けるのをやめ、理解の向上や、閃きの得られやすい環境を自らに与え、答えにたどり着く力を身につけることにしましょう。
あなたが「いずれは解けるはずのタスク」としてそこに掲げておくのをやめないまま、まずはいますぐ理解できるタスクに取り組むという変化を取り入れ、自信と少しの余裕を取り戻すことにしてください。
多くの場合、解ける「問題」から解き始めることによって、さまざまなヒントや、考え方の柔軟さを手に入れることができるようになるはずです。
また、時間が有限である限り、その「難問」を解くことが最重要事項とは言えないのかもしれません。
あなたの心の中に、解けない「問題」の無念を数えて生きるのではなく、あなた自身の力で、より多くの「問題」が解けるようになるために、「発想の転換」をしようと試みることが大切です。
次項で詳しく説明していきましょう。