朝、あなたが目覚めた瞬間から、夜眠りにつくまでの間に、あなたは人生における無数の分岐点に立ち、その都度、自ら「選択」をおこなっていると考えてみてください。
分岐点は、あなたの「目標」を達成できる方向と、達成できない方向への2つに分かれているのだと想像してみてください。
今回は、「目標」を達成しようとしてるBさんに登場していただき、「いい気分」を選択をするということについて、きちんと理解してみることにしましょう。
「いい気分」を選択をする、という本当の意味。
ある日、Bさんは「望まないこと」にぶつかりました。
酷く辛い(つらい)想いをしていたBさんは、自分の「目標」を見事に達成したと言うAさんに、以下のような秘訣を教わりました。
あなたの「目標」を達成するための、最も効率的な方法は、あなたがいつも「いい気分」を選択しようとすることです。
(目標達成への最短距離 参照)
Bさんはそれを聞いて、「いい気分」になれる努力をしようと決意しました。
ところがBさんにとって、いつも「いい気分」でいようとすることは、それほど容易なことではありませんでした。
頭の中では、いつもこんな『不穏な声』がささやいているように思えていたのです。
人生とはこのように、つらく、苦しく、不愉快なものだ。
君はこの事態に、一生苦しむことになるだろう・・・。
Bさんは、Aさんに尋ねました。
「このような悪いことが起こっている最中に、いったいどうやっていい気分になれというのでしょう?」
Aさんは、Bさんに答えました。
「いいことが起こっている最中になら、いい気分を感じようとすることについては考えもしなかったことでしょう。
あなたは、あなたに悪いことが起こったと感じたからこそ、いい気分になれる方法を学ぼうとしているのではないですか?」
Bさんは、確かにそうだと思いました。
Bさんは、自分がこんなに酷いことを経験している理由は、Aさんのように「目標」を達成して、幸せになるために違いないと考えました。
ところがしばらくすると、頭の中で『不穏な声』がささやくように思えました。
君がそんな望みを叶えるなんて、到底無理だと思わないかい・・・?
Bさんはすっかり動揺してしまい、Aさんに尋ねました。
「私はいい気分でいるための努力をしていたつもりなのですが、不安や心配を消すことができそうにありません。」
Aさんは、Bさんに答えました。
「あなたは、いまこそあなたがいい気分を選択するべきだということを理解する必要があるのです。そんな不愉快な声は無視して、あなたがもっといい気分になれそうなことをしようとしてみてください。」
Bさんは、Aさんの言うとおり、つらい考えを無視して、いい気分になれそうなことをしようと思いました。
すると不思議なことに、Bさんがよろこびを感じられるような出来事が、少しずつBさんの周りに現れてきたのです。
ところがしばらくすると、つらい「現状」が悪化したかのような出来事が目の前で展開され、Bさんの頭の中でまたもや『不穏な声』がささやくように思えました。
こんな酷い状況で、いったいどうやって、そんな目標を達成するつもりなんだい・・・?
Bさんは混乱し、Aさんに尋ねました。
「私はこれまで、いつもいい気分を感じようとすることに、とても気をつけてきたのです。なのに、どうしてまたこのような悪い出来事が起こってしまったのでしょう?」
Aさんは、Bさんに答えました。
「あなたは、どうしてあなたに起こった出来事が、それほど悪いことだと判断したというのでしょう。もしかしたら、あなたが目標を達成するために、必要であるからこそ起こっているのかもしれないではないですか。それに、あなたにとって良いことばかりが起こるなんて、そんなことあるわけないでしょう?」
Bさんは、納得できずに言いました。
「あなたが、いい気分でいれば目標達成できると言ったんじゃないですか!やはり、そんなことはでたらめだったわけですね?あなたは人の弱みにつけ込んで、そんな嘘ばかり話していてもいいんですか?」
Aさんは驚いて、Bさんに言いました。
「あなたの目標が達成しないとまだ決まったわけでもないのに、どうしてそんなふうに私のことを責めるのです?そもそも、そんなに簡単に、物事がうまく運ぶのが当然だと思っているのですか?」
Bさんは、Aさんの言うことを、素直に聞くことができませんでした。
Aさんが目標を達成できたのは、自分とは状況や運の強さがまったく違うからだと思ったのです。
Bさんはそれから、さらに酷くなったと思える状況の中で、がんばって「いい気分」になるべきだと考え努力しようとしましたが、Bさんががっかりするようなことはなくならず、そのたびにあの『不穏な声』はBさんの心をくじこうと試みました。
Bさんは、とうとう前向きになろうとすることに疲れ果て、Aさんのように「いい気分」でいられるような「いいこと」が早く起こってくれることを、それから毎日、不愉快な気分で祈り続けたのです。
―――さて、
Bさんはいったいどこで「選択」を間違えてしまったのでしょう?
―――答えは、
Bさんが『ネガティブな状況に置かれたと感じたすべての瞬間』です。
「いい気分」を選択をする、ということは、ネガティブな状況の中で、無理にポジティブな「思考」をしようと努力する、ということではありません。
『自分がいま、ネガティブな状況に置かれていて、何もできないと判断することをやめる』ということなのです。
そのためには、あなたがネガティブを感じてしまったときに、自分自身のことを、きちんと励ましてあげられることが大切になります。
次項で詳しく説明していきましょう。