あなたには、「嫌いな人」がいますか?
あなたは、あなたが「好きな人」と仲良くすればいいのであって、「嫌いな人」とも仲良くしなければならないと考える必要はありません。
仕事場が同じだから、家族だから、親戚だから、ご近所の人だから、あの人ににらまれるとやっかいだから、つき合わないわけにはいかないからという理由で、嫌いな人に対して好きなふりをする必要はないのです。
「嫌いな人」には、無関心になりましょう。
その方法を、ご説明します。
「嫌いな人」に無関心になる方法とは?
前項までに学んだように、あなたが自分の中の「嫌なこだわり」を捨て、あなたの苦手な人とは異なる心理状況になるに従って、あなたに不利益を与えている人間関係には終止符を打つことができるようになります。
しかし、そこで「嫌いな人」を避けようとしたり、「私はあなたが嫌いだ」と告げて突き放したりしようとすれば、うまくいかないでしょう。
あなたの「嫌いな人」と穏やかに距離を置くようにするためには、いったいどのようにすればよいのでしょうか。
ここで、少し考えてみましょう。
あなたにとって、以下の3種類の人物がいるとします。
1. 好きな人
2. 嫌いな人
3. なんとも思っていない人
あなたは、この3種類の人物と、普段どのように接しているか、ということをよく考えてみてください。
「3.なんとも思っていない人」というのは、よく顔を合わしてはいてもあなたにとってほとんどつき合いのない人や、あまりよく知らない人・すれ違った程度の人・たまたまそこに居合わせた人、などのことです。
特に、この「なんとも思っていない人」と接するときの自分の状態が、どんなふうであるのかを思い出してみてくださいね。
―――さて、それではあなたが「嫌いな人」とさようならをする方法をお伝えしましょう。
それは、あなたが「嫌いな人」に対して、「なんとも思っていない人」に接するときと同じ意識になり、同じ態度をとることで実現します。
そうです。これこそがあなたの嫌いな人に無関心になる方法なのです。
・・・これは、あなたにとって、難しいことでしょうか?
あなたが嫌いな人に対して、「嫌いだ」という意識を向けることなく、ケンカを売ることも買うこともなく、必要以上につき合う気もなく、相手がどうであろうとまったく関心をもたなければ、あなたの「嫌いな人」は、あなたにとって「なんとも思っていない人」に変わります。
普段、あなたは、「なんとも思っていない人」のことについて気をとられている時間などほとんどないはずです。
あなたが本当にその人のことを嫌いなら、あなたは本来、その人に気をとられている時間など、なくしたいはずなのです。
なのに、どうして「なんとも思っていない人」よりもはるかに多くの時間を、「嫌いな人」に悩まされることに費やす必要があるのでしょうか?
「嫌いな人」には、あなたの人生から消えてもらいましょう。
あなたの人生から消えてもらう、ということは、単にあなたの「思考」の中から消えてもらう、ということなのです。
あなたが、あなたの嫌いな人を、本当に人生の中から追い出したいならば、その人に対して徹底的に『無関心』になってください。
まず大切なことは、その人がそこに存在し、これからもその人が好きなように生きていくという権利をしっかり認めてあげること。
それからあなたとの関係性を一切、その人に感じないようにすることです。
あなたが嫌いな人に対して無関心になるために、誰の許可も、誰との対立も必要ありません。
言い争いになったときのための予行演習も、文句を言われたときのための言い訳も必要ありません。
あなたが電車に乗っているときに、隣の知らない人のことを考える必要がないように、あなたが嫌いな人については、ただ無関心になればいいのです。
「まったく考える必要がない・考える意味がない」と、あなたが普通に判断してしまうこと。
それが、無関心になる方法です。
あなたがその人に対してまったくの『無関心』で『無反応』の状態になっていれば、その人は必ずあなたの前から消えていきます。
これまでそんなふうにはできなかった相手に対して、そのように意識を変え、態度を変えるというのは、最初は少し難しく感じるかもしれません。
あなたの意識が変わったことがわかるまでは、相手はいつものようにあなたとネガティブなやりとりをすることに慣れ親しんでやってくるかもしれません。
あなたは、嫌いな人に出会ったら、意識を自分の内側に向けて、自分の心臓のまわりの「感情」を感じながら、その人に対しては『無関心』で『無反応』の状態になって通り過ぎてみてください。
そうしながら、自分の「感情」を見つめていましょう。
「あ、ちょっと怖がっている」とか「思ったより平気だな」とか感じている心の動きを見ていましょう。
嫌いな人がそこにいるのはわかっているけれど、まるで知らない人、自分とは全然関係のない人と同じ意識でいてください。
相手があなたに気づき、ネガティブな態度をとったとしても、「なんでしたっけ?なんだかヘンな態度をする人だなぁ」というような、おとぼけた感じでいればいいでしょう。
対話する場面になっても、その態度を変えずに接してみてください。
「なんとも思っていない人」とたまたま話をする場面になった時と、同じ態度にすることを心掛けるのです。
相手が敵意をむき出しにしてきても、その挑発には乗らないでください。
『無関心』のふりをしているだけでは意味がありません。
心の底から、『無関心』になろうとすることが大切です。
すべての関心を自分の内側に向け、落ち着いた態度で必要なことだけを話し、できるだけ早くその場を立ち去って違うことを考えることを目標にしましょう。
しばらくすると、相手の態度が変わり始めます。
何度かそういったことを繰り返しているうちに、相手が引いていくのを感じるはずですので、決してそこで油断することなく無反応を続けてください。
もちろん、話をする必要がある時には、「なんとも思っていない人」として、あなたらしく対応することにしましょう。
そうこうしているうちにあなたは、いつの間にか嫌いな人々が、大して気にもならない存在になっていることに気づくはずです。
あなたがその人に対して抱いている「感情」が、「嫌悪感」といった軽いものであれば、上記のことは比較的簡単に実行できます。
しかし、「怒り」や「怨み」を伴った重いものであるほど、『無関心』でいることは難しく感じると思います。
次項では、あなたにとって「許せない人」について、詳しく考えてみましょう。